抗菌薬について
滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
黄色い鼻水が出た、咳がひどくて止まらない、高熱などの症状が出たら、抗菌薬を出してほしいという患者さんが時々いらっしゃいます。
すべてのかぜ症状の方に抗菌薬が必要なわけではありませんが、「かぜには抗菌薬が効かないから処方しません」というのは少し乱暴な説明で、実際には症状や経過に応じて患者さんごとにオーダーメイドで対応を変える必要があります。
今回、特にお伝えしたいことは以下の2点です。
- かぜの多くはウイルス感染で、抗菌薬には症状を改善する効果がありません
- 抗菌薬を使用する場合、用法用量を正しく守って飲み切りましょう
ウイルス感染に抗菌薬は効かない
かぜ症状の原因の8~9割はウイルス感染で、抗菌薬には症状を改善する効果はありません。
また抗菌薬は他の薬に比べると比較的アレルギーが起こりやすく、腸内細菌を乱して下痢などの副作用が起こることもあります。
薬が効かない「耐性菌」を増やしてしまい、症状が長引くことにつながることもあります。
これから症状が悪くなったら困るという理由だけで抗菌薬を使用することは、デメリットが多いといえます。
抗菌薬を処方された場合は、しっかり飲み切りましょう
かぜ症状の8~9割がウイルス感染ということは先ほど申し上げましたが、1~2割は細菌感染が合併することで起こります。
細菌感染かどうかについては、症状や検査結果、周囲の感染状況などを踏まえて総合的に判断する必要があります。
細菌感染が疑わしい場合は抗菌薬を使用します。
抗菌薬は、抗菌薬の種類や標的となる病原菌、効かせたい部位によって飲む回数、飲む日数が変わります。症状がよくなったからと言って決められた量や回数を守らずに中途半端に使うと、病状がぶり返したり、耐性菌が増える原因となります。
次に体調が悪くなった時にとっておこうとせず、出された抗菌薬は最後までしっかりと飲み切りましょう。
もしお子さんがお薬が苦手でなかなか決められたように飲ませることができないなどのお悩みがあれば、ぜひ処方した医師にご相談ください。
抗菌薬が耐性菌を増やすしくみについては、過去のブログ「お薬について 抗菌薬のはなし」もぜひチェックしてみてください。