高熱、目の充血…もしかしてアデノウイルス?

こんにちは。滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
夏から秋にかけて、子どもたちの間で流行しやすいアデノウイルス感染症。今回は、その特徴や様々な症状、そしてご家庭でできるケアについてご紹介します。
アデノウイルス感染症とは?
アデノウイルス感染症は、その名の通りアデノウイルスによって引き起こされる病気です。
このウイルスにはたくさんの種類(型)があり、それが多彩な症状を引き起こす原因となっています。
一年を通して見られますが、特に夏から秋にかけて流行のピークを迎える傾向があります。感染力が非常に強いため、一度家族の誰かがかかると、次々と感染が広がることも珍しくありません。
また、アデノウイルスの種類によって、高熱、のどの痛み、目の充血、下痢や嘔吐など、実にさまざまな症状を引き起こすのが特徴です。
感染経路

アデノウイルスは非常に感染力が強く、主に以下の3つの経路で人から人へとうつっていきます。
- 飛沫感染: 感染している人の咳やくしゃみで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。
- 接触感染: ウイルスが付着した手で、目や鼻、口などを触ることで感染します。例えば、おもちゃやドアノブなどを介して広がることもあります。
- 糞口感染: 感染者の便の中に排出されたウイルスが、手などを介して口に入ってしまうことで感染します。特に乳幼児のおむつ交換後などは注意が必要です。
プールで感染が広がる「プール熱」もアデノウイルスが原因の一つであり、その感染力の強さから、集団生活の場で注意が必要です。
潜伏期間
アデノウイルスに感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は、一般的に5〜7日程度といわれています。感染してもすぐに症状が出るわけではないため、知らず知らずのうちに周りの人にうつしてしまう可能性もあります。
アデノウイルスが引き起こす病気
アデノウイルスは、その型によって実にさまざまな症状を引き起こします。どんな症状に注意すればよいか、代表的なものを知っておきましょう。
咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルス感染症の最も有名な症状の一つが「プール熱」です。プールの水を介して感染が広がりやすかったことから、この名前がつけられました。
特徴的な3つの症状が現れることが多いです。
- 高熱: 38℃から40℃近い高熱が数日続くことがあります。解熱剤を使っても、なかなか熱が下がらないこともあります。
- のどの痛み・腫れ(咽頭炎): のどが真っ赤に腫れ、強い痛みを伴うことがあります。お子さんが「のどが痛い」と訴えたり、食事を嫌がったりすることもあります。
- 目の充血・痛み(結膜炎): 白目が充血し、涙目や目やにが出たり、目がゴロゴロしたり痛みを伴うことがあります。片方の目から始まり、もう片方の目にも広がるケースもよく見られます。
流行性角結膜炎(はやり目)
「プール熱」とは異なり、主に目の症状が強く出るタイプが「流行性角結膜炎」です。こちらもアデノウイルスが原因で、「はやり目」とも呼ばれます。
- 目の充血、大量の目やに、涙が止まらない、目がゴロゴロする、まぶしそうにする、などの症状が出ます。
- 非常に感染力が強く、家族間でもすぐに広がりやすいので注意が必要です。目をこすった手でタオルなどを触ることで、あっという間にうつってしまうことがあります。
胃腸炎
アデノウイルスは、高熱やのどの症状だけでなく、胃腸炎を引き起こすこともあります。
下痢や嘔吐、腹痛といった症状が現れます。ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎と似た症状が出るため、診断が難しいこともあります。
その他、まれに起こる症状
アデノウイルスは、上記の他にも様々な病気を引き起こすことがあります。
- 気管支炎や肺炎: 咳がひどくなったり、呼吸が苦しそうになったりすることがあります。
- 出血性膀胱炎: おしっこが赤っぽくなったり、排尿時に痛みを伴うことがあります。
これらの症状は比較的まれですが、重症化することもありますので注意が必要です。
ご家庭でのケア
安静にして、十分に休息をとりましょう。
脱水予防のためこまめに水分をとるようにします。経口補水液やジュース、スープなど、こどもが好きなものでOKです。
食事は無理せず、のどが痛い場合は、プリンやゼリー、おかゆ、冷ましたうどんなど、刺激の少ない柔らかいものにしましょう。
また、アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいウイルスです。感染の拡大を防ぐため、目やに、鼻水、便などからの感染に注意し、触れた後は念入りに手洗いをしましょう。
家族全員で手洗いを行うようにし、タオルの共有は避けましょう。お風呂での感染予防のため、入浴はなるべく最後にしましょう。
受診のめやす
- 高熱が続く、またはぐったりしている時水分が摂れない、脱水症状のサインがある時(おしっこの量が少ない、唇や口の中が乾くなど)
- 目の症状がひどい時(痛みが強い、腫れがひどい、見えにくそうなど)
- 呼吸が苦しそうな時
- 頭痛や嘔吐がひどく、意識状態がおかしい時
- 強い腹痛や血便がある時
- 症状が改善しない、悪化していると感じる時
登園・登校はいつから大丈夫か
症状が改善し、体調が回復してから2日程度が目安です。特にプール熱の場合は、主な症状が消退して2日経ってから登園・登校可となることが多いです。
まとめ
アデノウイルス感染症は、特に小さなお子さんにとって辛い病気です。
ご家庭での適切なケアで症状を和らげ、周囲への感染拡大を防ぐことが大切です。何か心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。