こどものいびき
滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
本日はこどものいびきについてのお話です。
風邪をひいた時に一時的に呼吸が荒くなったりいびきをかいたりすることがありますが、常に寝るときにいびきをかいているお子さんは、寝ている間の息の通り道が慢性的に狭くなっている可能性があり注意が必要です。
寝ている間に息の通り道が狭くなり、息が吸えなくなったり止まったりする病気を「睡眠時無呼吸症候群」といいます。
こどもの睡眠時無呼吸症候群
「睡眠時無呼吸症候群」という病気については、当ホームページのこちらの記事を参考にしていただければと思います。→睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは?
大人の場合は、肥満や加齢により呼吸筋の活動が落ちることによって寝ている間に無呼吸が起こる病気です。
しかしこどもの場合、大人のものとは症状や原因が異なります。
また、大人の無呼吸が高血圧や糖尿病、脳卒中の原因となることに対し、こどもの場合は成長・発達の遅れや注意散漫などの原因になることがあります。
こどもの睡眠時無呼吸症候群の特徴
こどもは一度眠ると、少しの物音や刺激ではなかなか起きません。
大人であればいびきをかいたり息がとまったりすると、寝ていても目が覚めてしまうことが多いですが、こどもはずっと休まずいびきをかいていても寝続けることが多いです。
また、胸郭(胸部を形作る骨の枠組み)が柔らかいので、呼吸がしにくくなると、息を吸うときにみぞおちのあたりや首の付け根がへこんでしまうことがあります。
また肺の大きさも小さいので、短い間の無呼吸でも酸素の濃度が下がったり、二酸化炭素を吐き出せなくなったりします。
原因
口蓋扁桃(俗にいう「扁桃腺」)とアデノイド(鼻のつきあたりにある扁桃)が大きいことが最も多い原因となります。口蓋扁桃やアデノイドは3~6歳ごろが最も大きく、それ以降 徐々に自然に小さくなっていきます。
また、肥満も誘因となります。
こどもの睡眠時無呼吸による影響
こどもは昼間の眠気を訴えにくいですが、寝ている間に低酸素状態が続いて睡眠の質が下がると、集中力が散漫になったり、日中イライラしたり、落ち着きがなくなったりすることがあります。
体重・身長の増加が悪いといった成長面での影響が出る場合があります。成長ホルモンの分泌が低下することや、呼吸をすることに余計なエネルギーを費やしてしまうことが原因と考えられています。
また、口蓋扁桃やアデノイドが大きいと、鼻で息をすることができずに口呼吸となります。
いつも口が開いた状態でいると、あごの発達が悪くなったり、寝ている間の呼吸のバランスが乱れることがあり、このことがさらに睡眠時無呼吸を悪化させる原因となることがあります。
治療
まずは鼻炎の治療を行い、気道の状態が改善していびきが改善するかどうかをみます。
肥満がある場合はダイエットも治療となります。
それでも症状がよくならなければ、アデノイドや口蓋扁桃を切除する手術が必要になることがあります。
手術は全身麻酔で行います。
うちの子は大丈夫?と心配になったら
寝ている間の様子を動画で撮影していただくと診療の参考になります。その際は首のつけ根あたりがいびきとともにへこんでいる様子がないかも確認してみてください。