リンゴ病ってどんな病気?

滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
現在、リンゴ病(伝染性紅斑)の感染が全国的に広がっています。
特に小児を中心に患者数が増加しており、滋賀県内でも報告数が上昇しています。

リンゴ病は数年に一度流行する傾向がありますが、今年は例年よりも注意が必要な状況です。
令和7年4月30日に公表された4月14日から20日までの1週間における定点医療機関(※)からの報告数は過去10年間の最高値まで増加しています。
※定点医療機関とは、感染症の流行状況を調べるために、地域ごとに選ばれた医療機関です。これらの医療機関は、インフルエンザやRSウイルス感染症など、特定の感染症について毎週患者数を報告し、地域や全国の流行動向を把握するための基礎データを提供しています。定点医療機関は、地域全体の傾向をできるだけ正確に反映できるように、保健所ごとに無作為で選ばれています。
症状
リンゴ病はヒトパルボウイルスB19による感染症で、主な症状は以下の通りです。
- 潜伏期間は約4~20日
- 初期には微熱や風邪のような症状(倦怠感、頭痛、筋肉痛など)が現れます。
- その後、両頬に蝶の羽のような境界がはっきりした赤い発疹(紅斑)が出現します。これが「リンゴ病」と呼ばれる由来です。
- 発疹はさらに手足に網目状やレース状に広がることがあり、通常1週間程度で消失します。
- 関節痛や関節炎、頭痛を伴うこともあります
リンゴ病は主に5歳から9歳の学童期の子ども、次いで0歳から4歳の乳幼児期によくみられる感染症ですが、成人にも感染することがあります。
治療法とワクチン
残念ながらリンゴ病のウイルスに対するお薬はなく、ワクチンも開発されていません。症状に対する治療(対症療法)を行います。
登校できない期間について
リンゴ病は学校感染症に指定されています。
発疹が出る頃には感染力がほとんどなくなるため、発疹のみで全身状態が良好であれば、登校・登園が可能です。
発熱や全身のだるさ、喉や口の中の水疱・潰瘍など、全身状態が悪い急性期は出席停止となります。全身状態が回復し、元気であれば登校・登園を再開できます。
合併症について
ほとんどの場合、リンゴ病は自然に治りますが、ごくまれに以下のような合併症が起こることがあります。
- もともと貧血の病気を持っている方や、免疫力が低下している方では、貧血が強くなったり、症状が長引くことがあります。
- 成人では関節の痛みや腫れが続く場合もあります。
- 心筋炎、脳炎、脳症
ただし、これらの合併症は全ての方に起こるものではなく、多くの方は軽症で経過します。気になる症状があれば、医療機関にご相談ください。
妊娠中の方が特に気を付けるべき点

過去にリンゴ病にかかったことのない方が妊娠中にリンゴ病に感染すると、お腹にいる赤ちゃんに影響を及ぼすリスクがあります。
- 妊娠初期に感染すると、胎児水腫や流産のリスクが高まります。
- 胎児が感染した場合、約10%で流産や死産、約20%で重度の貧血や胎児水腫となる可能性があります。
妊娠中の方やその家族は、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染対策をしっかり行うことが大切です。
まとめ
リンゴ病は小児を中心に流行していますが、妊娠中の方、基礎疾患のある方は特に注意が必要です。症状が疑われる場合や妊婦さんは、早めに医療機関へご相談ください。