お薬について その3 飲ませ方の工夫

年齢別・お薬の飲ませ方の工夫

明けましておめでとうございます。滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。せっかくのお休みでしたが、熱が出てどこにも行けなかったという方も多かったようです。(病院に来られる方とばかり接しているのであたりまえかもしれませんが…。)

新型コロナウイルス感染症が相変わらず猛威を振るっています。この年末年始はコロナだけでなくインフルエンザA型の方も受診されるようになってきました。引き続き気を緩めることなく、手洗い、消毒、マスク着用をがんばっていきましょう!

さて今回は、前回・前々回に引き続き、お薬についての話の第3弾です。

お子さんはお薬を嫌がらずに飲みますか?

よく保護者の方から「こどもが薬を飲んでくれません」というご相談をお受けします。年齢や発達の段階に応じてのお薬の飲ませ方の工夫についてまとめたいと思います。

◆ 0歳~2歳前後 ◆

このころのお子さんは、お薬の必要性を言い聞かせてもなかなか理解してくれません。

色々わかっているようでやっぱりよく物事を理解できない年頃の子供に、叱りつけたりお説教をしたりしても残念ながら効果はあまり高くありません。どうしてもお薬を受け付けない場合は以下のような方法があります。

ごく少量の水で粉薬を練って団子状、ペースト状にし、口の中に塗り付ける

粉薬をコップやお皿に出し、スポイトなどで少しずつ水を加えて団子状、ペースト状にします。口を開けて指でお薬を頬の粘膜や舌に塗ってあげます。このとき、舌の先や口の手前の方に塗ると、舌で前に押し出しやすくなってしまいますので、オエッとならない程度になるべく奥に塗ってあげてください。

少量の水で溶かしてスポイトやスプーンで飲ませる

哺乳瓶やコップが嫌いでも、スポイトやスプーンなどだと進んで飲んでくれることがあります。時期によって好みが変わることも多いですし、何が嫌かがわかりにくい時期ですので、根気よくあの手この手で試してみると意外とうまくいくことがあります。

甘いものと混ぜて飲ませる

抗生物質や一部のお薬はオレンジジュースなどの酸味のある飲み物と混ぜると苦みが出ることがあります。

お勧めは練乳やアイスなどですが、低月齢のお子さんには甘すぎることや、虫歯の問題がネックです。どうしても飲ませないといけない場合、ここぞという時の使用に限られるかもしれません。

 ◆ 3~5歳前後 ◆

この年齢のお子さんも、2歳前後までの子供と同じ方法で薬が飲める場合もありますが、力が強くなってきてなかなか無理やり飲ませることが難しくなってくることもあります。個人差は大きいですが、徐々に言い聞かせると理解してくれるようになってくる時期です。

絵本を使ったり好きな人形で遊んだりしながら、薬を飲むことで病気が治って元気になれるということをお話ししてあげたり、飲めたら大げさに褒めてあげると、すんなりお薬を飲むようになることがあります。半年も経つと子供は大きく成長しますので、「この間はだめだったからきっともう飲まないだろうな」と思わずに根気よく励ましてあげてください。

◆ 6歳前後以降 ◆

ごっくんする力が強くなって、錠剤が飲めるようになる子もいます。ラムネのように口の中で溶けるタイプのお薬から試してみると、粉薬よりも飲みやすいことに気づいて薬嫌いがなおる子が多いです。ずっと粉薬しか受け付けない子もいますので、無理強いせず飲みやすい形態のものを選んでいただいてもかまいません。

また、お薬嫌いな子にお薬を飲ませる場合、本当に必要なお薬だけに絞ることで解決する場合もあります。しんどい症状を和らげる(対症療法といいます)ためのお薬は、飲むことで体が楽になることが期待されますが、どうしても飲めない場合は飲ませないことも選択肢です。抗生物質など、必要最低限の内服にとどめることで、またお薬が飲めるようになることもあります。処方内容については医師にお気軽にご相談ください。