お薬について その2 外用薬について
滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
今回は外用薬についてのお話です。外用薬とは、口から飲むお薬ではなく、皮膚や目、粘膜など、体の外側に使用するお薬のことです。主に保護者の方がお子さんに使用する場面を想定してのお話をします。
外用薬の種類とその使い方
皮膚や目、鼻など、局所に効かせたいときに使うお薬と、皮膚や腸管の粘膜などを通して全身に効かせたいときに使うお薬があります。それぞれみていきましょう。
坐薬
おしりから挿入するお薬で、解熱薬やけいれん予防薬、吐き気止めなどがあります。成分を直腸から直接吸収することで効果を発揮します。吐き気が強いとき、食欲がないときなど、口から薬を飲むことが難しいときに使いやすいお薬です。
口から飲めないときにも使えるので便利ですが、お薬を入れたことによる刺激で排便してしまい、お薬が吸収される前にそのまま出てきてしまうことがあります。入れてすぐに便と一緒に出てきてしまったら、新しいものを入れ直してかまいません。入れて30分ほどしたらもう溶けてしまっているので、排便しても入れ直す必要はありません。
食用油(サラダ油やオリーブ油)かワセリンを坐薬のとがっている方につけて挿入すると、肛門を傷つけにくいです。横向き、仰向け、うつ伏せ、どんな姿勢でもよいので寝かせてひざを曲げ、肛門にゆっくりお薬を挿入し、しばらく指で押さえます。お薬がすっと離れていく感じがしたら指を離しましょう。
☝坐薬の切り方 ワンポイントアドバイス
体重によっては2/3本や3/4本など、カットして使用します。包装の上からきれいなカッターナイフなどで切りましょう。まっすぐでも斜めでもどちらでもOKですが、全体の量のだいたい2/3や3/4になるように切ってください。余りは破棄してください。
点眼薬
容器の先がまつ毛やまぶたに触れないように注意して点眼しましょう。量は1滴で十分です。
お子さんが怖がってうまく点眼できないときは、寝ているときに目頭(目の内側)に落として優しくまぶたの下を揺らすとうまく点眼できることがあります。流れ出たお薬はティッシュなどで優しくふき取ってください。
点耳薬
中耳炎や外耳炎など、耳の炎症があるときなどに使います。飲み薬よりもダイレクトに耳に届けることができ、全身の副作用が出にくいのが利点です。
点耳する方の耳を上に向けて横向きに寝かせます。耳たぶを少し外側に引くと耳の壁がまっすぐになって奥にお薬が届きやすくなります。
冷たいお薬をたくさん耳の中に入れるとめまいを起こすことがあります。保護者の方の手でお薬の容器を少し温めてから、3-4滴垂らします。できればそのままの姿勢で5分ほど静かに過ごしましょう。使用したあと、耳から流れ出たお薬は、耳の穴の外側部分だけティッシュで優しく拭くようにしてください。
異なった種類の点耳薬を同時に使用する場合は、5分程度あけて使用するようにしてください。
塗り薬
保湿剤の場合は、乾燥を防ぐため入浴後すぐ(5分以内)に十分な量を塗ることが大切です。量は医師に指定された量を塗りましょう。塗りすぎよりも、十分な量を塗れていないことがほとんどですので、たっぷり塗ってあげてください。塗ったあと、ティッシュぺーパーが1枚張り付くぐらいのしっとり感が目安です。
保湿剤やステロイドについてはまた別の機会に詳しくお話ししようと思います。
貼り薬(テープ)
主に気管支を広げて呼吸を楽にするために使うことが多いです。
だいたい胸か背中に貼りますが、本人の手が届かないところであれば体のどこに貼っても大丈夫です。お風呂あがりの清潔な皮膚に貼るか、お風呂に入れないときは時間を決めて貼りなおしましょう。途中ではがれたら、新しいお薬を貼るのではなく同じものを貼りなおしましょう。粘着力が弱くなったら、上からばんそうこうなどで貼ってください。1日たったらはがしましょう。
連日貼る場合は、同じ場所に貼ることは避けましょう。肌荒れを防ぐためです。
点鼻薬
主にアレルギー性鼻炎に使います。ステロイドの点鼻薬を使う場合、ステロイドは水に溶けにくいため底に沈んでしまっていることがありますので、よく振ってから噴霧するようにしてください。
鼻の真ん中に向けて吹き付けると、鼻中隔という鼻の真ん中のしきりに薬が当たってしまいます。刺激でよく鼻血が出る場所ですので、少し外側を向けて噴霧するようにしてください。
点鼻薬も必ず噴霧回数を守って使い過ぎに注意するようにしましょう。
今回が今年最後のブログです。どうぞみなさま良い年の瀬をお過ごしください。