鼻血について2

滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

今回は大人の鼻血についてのお話です。(こどもの鼻血については前々回のブログもぜひご参照ください。)

寒くなると、急激な気温の変化のために血圧が上がりやすくなったり、鼻が乾燥したりすることで鼻出血が起こりやすくなります。

大人の鼻血もこどもと同様、ほとんどが「鼻中隔(びちゅうかく)」という鼻の真ん中のしきりを傷つけることで起こります。

鼻中隔の前方のちょうど指が届く範囲の、粘膜の浅いところに血管が集まっています。このため、この部分を傷つけることで鼻血が出やすいのです。この場合、たいていは鼻が一番膨らんでいるところを真ん中に向かってつまんで、静かに15分ほど押さえることで自然と止まることが多いです。

大人の鼻血の原因

あまりにたくさん鼻血が出ると「脳から出ているのではないかと心配になった」といって受診される方がいらっしゃいます。ひどい頭の怪我をしない限り、脳出血が原因で鼻血が出ることはありませんのでご安心いただきたいと思います。

ただ、普段は笑いごとになるほど身近な「鼻出血」ですが、まれに大量に出て命にかかわることもあります。

このような大量の鼻出血では、ほかの病気などが関係している場合があります。

大人の鼻出血で注意すること

高血圧や肝臓の病気、血小板減少症などの血液の病気がある方、抗がん剤や抗血栓薬(バイアスピリンやワーファリンなど)を使用している方は鼻出血がおこりやすいです。

特に鼻血が出たことで驚いて血圧が上がると、なかなか血が止まりにくくなることがあります。鼻の腫瘍が原因で鼻出血を繰り返すこともあります。

鼻出血の治療

まず十分に出血点を探します。鼻中隔の前方から血が出ている場合は比較的簡単に見つけることができます。

それ以外の場所から出血している場合は、鼻の穴から内視鏡を入れて出血点を探します。

出血点が見つかれば、麻酔をしてから電気で焼いてピンポイントに止血することができることが多いです。血圧が高かったり、もともとの病気が原因で血が固まりにくかったりする場合は、ガーゼで鼻の中を圧迫しないと止血できないことがあります。

大量に鼻血が出ていたり、逆にぴったりと血が止まっていたりする場合は出血点を見つけるのに苦労する場合があります。

大量に出血しているものの出血点が見つけられないときは、出血していそうな場所をガーゼで圧迫してひとまず止血をします。

いずれの場合も、鼻の中に入れたガーゼは数日後に取り除きます(溶けるタイプのスポンジを入れた場合はそのまま溶けるのを待ちます)。

耳鼻咽喉科受診のめやす

・15分以上、静かに小鼻を押さえてもなかなか出血が止まらない

・鼻出血が何度も繰り返し起こる

・前ではなく鼻の後方に鼻血が流れる

・大量に出血する

受診時にはお薬手帳をぜひお持ちください。また、直近の血液検査結果もお手元にあれば持参されると診療の参考になる場合があります。