お薬以外で花粉症は治る?代替医療の現状を知ろう

滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

スギ花粉症のシーズンに突入しました。今年は大量飛散年の予想が当たっているのか、例年より症状がひどい患者さんが多い印象です。

先日、「いつもはヨーグルトを食べて大丈夫だったのに、今年はヨーグルトだけでは効きませんでした」という患者さんが来られました。乳酸菌が花粉症に効く、アロマがよいなど、新聞やネットでもなるべくお薬に頼りたくないという心情をくすぐるからか、様々な情報が出回っています。

こういった、「通常の医療機関で医師が処方、あるいは実施する医療以外の医療」のことを「代替医療」といいます。例えば、サプリメントを使ったり、鍼灸を受けたりすることも代替医療の一つです。

花粉症の代替医療として有名なものには、甜茶やヨーグルト、乳酸菌タブレット、アロマセラピーなどが挙げられます。

実は、多くの代替医療は科学的な評価がしっかりとされていません。そこで、2007年度に千葉大学の岡本美孝先生を中心として、アレルギー疾患に対する代替療法の実態と有効性の科学的評価が行われました1)

その結果、こうした治療が少しでも効果があるという方は36%いました。

こうして聞くと「効果がある」と考えたくなりますが、少し立ち止まって考える必要があります。

というのも、薬の開発時には、開発中の薬の効果を確かめるためにプラセボ薬というそっくりで効果のない薬(乳糖など)との効果の差を比べるのですが、アレルギー性鼻炎の臨床試験のプラセボ薬の有効率は30%前後なのです。つまり、何の薬効もないはずの薬を使用して症状が良くなる方が3割もいるということになります。

これをふまえると、代替療法の効果には多分にプラセボ効果が含まれると考えられます。

ただ、ある種の乳酸菌については、花粉症の症状を和らげる可能性があるとされています2)。ただし、効果が出るまでには12週間持続しなければならず、花粉症ピーク期の効果は限定的でした。

1)代替医療の実効性と科学的評価. 平成21年度~23年度総合研究報告書,2010

2) Yonekura S,et al: Effects of daily intake of Lactobacillus paracasei strain KW3110 on Japanese cedar pollinosis. Allergy Asthma Proc,30:397-405,2009.

しっかりとした科学的根拠がある治療は代替医療ではなく「標準治療」となります。そのため、通常 代替医療を医師が患者さんにお勧めすることはありません。

中には高額なものもあり、十分な効果を得られないばかりか重大な副作用が出る場合もあります。コレステロールを下げるサプリメントで重大な健康被害が問題になったことは記憶に新しいでしょう。

ただし、それほど高価でなく、気分が落ち着くなど自分にとってメリットがあるものに関しては、特に禁止されるものではありません。

そして、プラセボ薬でも約3割の方に効果が出るという点は無視できません。どんな薬も「これを飲めばきっとよくなる」と思って服用することは効果的といえるでしょう。