ウイルス性胃腸炎のホームケア②

滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
最近、ウイルス性胃腸炎が流行しています。お子さまをお持ちのご家庭では、急な嘔吐や下痢に不安を感じられている方も多いのではないでしょうか。前回に引き続き今回は、ウイルス性胃腸炎に家族がなってしまったときの吐物の処理についてお話します。
吐物の処理と消毒方法
ウイルス性胃腸炎は感染力が強いため、家庭内でも感染拡大を防ぐ工夫が必要です。
特に、嘔吐したものの処理をする際に感染が拡がることが多いので、吐物の処理についてご説明します。
①必要な物品
- 使い捨て手袋(ゴム手袋・ビニール手袋など)
- マスク(可能ならゴーグルも)
- ビニールエプロン(なければゴミ袋で代用)
- ペーパータオル
- 使い捨てのゴミ袋(2重にすると安心)
- 次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)
- バケツ
②ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)の薄め方
汚物の処理には、濃度0.1%(1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム溶液を作ります。
次亜塩素酸ナトリウム液は使用時に有毒な塩素ガスが発生するため、処理中・処理後は十分な換気を行うことが大切です。
ハイターの希釈方法(花王のハイター(濃度約6%)を使用する場合)
- 水1Lに対して、ハイターを10ml(キャップ約半分)
- 水500mlに対して、ハイターを5ml(小さじ1杯)
※ 作った消毒液は長時間持たないため、その都度作り、使い切ることが重要です。
③吐物の処理方法
1.吐物の上にペーパータオルや新聞紙をかぶせる(直接飛び散らないようにするためと乾燥して空気中にウイルスが飛散するのを防ぐため)

2.ゴミ袋を二重にする(あればバケツにかぶせる)
ゴミ袋の中にきれいなペーパータオルを多めに入れておく
0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム液を作成し、これをペーパータオルに浸してウェットペーパーを作る

3. マスク、二重手袋を着用する(あれば使い捨てエプロンも、なければゴミ袋で代用できます)

4.覆っておいたシートの端から中心に向かって拭き取る

5. 2で作成したウェットペーパーで嘔吐物を覆い、端から中心に向かって拭き取ることを繰り返し行い、嘔吐物を除去する
6.床の消毒をする

7.嘔吐物の付着したペーパーや1枚目の手袋を、1重目のごみ袋に入れ、
余っている次亜塩素酸ナトリウム液も流し入れる。

8. 1重目のごみ袋の口をくくって密閉する
9. 手袋・エプロン・マスクの順に外し、2重目のごみ袋に入れ口をくくって密閉する。すべて廃棄し、流水と石けんによる手洗いを行う。

④ 二次感染を防ぐために
- 使い捨ての手袋やペーパータオルを使う
- 処理後は、手袋ごとビニール袋に入れて密封する
- 床や壁に飛び散った部分も消毒
- 換気をしっかり行う
⑤ 吐物処理後の拭き掃除
- 吐物が直接ついていた部分 → 0.1%(1000ppm)のハイター消毒
- プラスチックや金属部分には次亜塩素酸ナトリウムは向かないため、アルコールタオルで15秒置いて二度拭きする
注意点
❌ 空間消毒に薄めたハイターを絶対に使わない→塩素中毒が起こる可能性があります!
❌ 消毒液は作り置きせず、そのつど作る→24時間以上の作り置きではpHの低下が起こり効き目がなくなるため
ノロウイルスにおける嘔吐物の処理方法. INFECTION CONTROL(0919-1011)27巻11号 Page1083-1087.2018.