「飲み込みやすい食事」について

滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

口から安全においしく食べ物を食べたいと思う気持ちは年齢によらないと思います。いつまでも自分の好きなものを食べたいですね。

一方で、高齢者の肺炎の原因は、食べ物や口の中に残った食べかすなどを誤嚥することによる「嚥下性肺炎」が多く、入院となる肺炎の約6割が嚥下性肺炎であることが知られています。

嚥下性肺炎を防ぐために、栄養価の高い食事をとって体力をつけることはとても大切なことです。栄養価の高い食べ物を誤嚥しにくい形態で摂取できると、低栄養を避けることができ、嚥下性肺炎予防につながります。

今回は、「飲み込みやすい食事」と「むせやすい食事」についてお話ししたいと思います。

注意:今回は個別の嚥下機能の状態によらない、一般的な飲み込みやすい食事についてまとめています。嚥下機能の低下の程度によっては下記の食品も安全に飲み込めず、誤嚥してしまうことがあります。ご自身の現在の飲み込みの状態の評価は、詳しく検査を行う必要がある場合があります。当院では内視鏡を用いた嚥下機能検査を行っています。ご希望の方はご相談ください。

飲み込みやすい食品・料理

  • ばらけないもの

口の中でばらけずまとまりやすい形状のものです。

野菜やお魚、お肉を細かくきざんだ食事は、歯が弱い方にとっては食べやすいですが、口の中でまとまりにくく、ばらけて喉の奥にバラバラに落ちて行ってしまいます。そうすると飲み込みのタイミングがずれて誤嚥しやすくなります。

  • サラサラで適度に粘性があるもの

ゼリーや餡かけなど、口の中に入れた時に上あごや舌にくっつかずに、かといってすぐにのどに流れていかないような適度な粘り気のある食品です。粘り気が強すぎるものはのどに張り付いてしまって後から誤嚥してしまうことがあります。おもちが窒息しやすい理由もこのためです。

  • やわらかいもの

舌で噛み切れるぐらいの軟らかさのものが食べやすく飲み込みやすいです。

硬すぎる食品は噛む力が弱かったり歯が弱かったりすると、大きな塊のままのどに落ちていってしまい、飲み込むことができずにのどにたまってしまうことがあります。

むせやすい食品・料理

意外なことに、体調が悪いときに食べる「3分がゆ」「7分がゆ」やみそ汁など、水分の中に固形物がある食品はむせやすいです。飲み込もうとする前にのどの奥に水分が入ってしまうからです。

また、そぼろやほぐした魚、きざんだ野菜は、まとまりにくいためむせやすいことがあります。食事中のむせが気になるときは餡かけにするなどしてまとまりやすくするとつるっと飲み込みやすくなることがあります。

刻んでも噛んでつぶせない食材、かまぼこやイカ・タコ、こんにゃく、さらさらのお茶やお水、清涼飲料水なども飲み込みにくい食品といえます。

ユニバーサルデザインフードについて

「ユニバーサルデザインフード」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。老若男女問わず、そしゃく機能や嚥下機能が低下した方に対して広く使用できる食品で、みんなが食べやすい、飲み込みやすい形に工夫されています。

「みんなが食べやすい」というと流動食を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、ユニバーサルデザインフードは見た目もよく、食欲をそそるように工夫されています。

最近はいろいろな会社からユニバーサルデザインフードが市販されていて、下のようなマークが商品に記載されています。スーパーにも売られていることもありますので、興味のある方は一度試してみてはいかがでしょうか。