難聴が引き起こす「フレイル=虚弱」のはなし

滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

さて前回の告知通り、今回は聴覚医学会でも取り上げられていた話題についてとりあげます。きこえと「フレイル」の関連についてです。

「フレイル」って?

「フレイル」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。

・年齢を重ねて運動機能や認知機能等が低下し普段の生活を送ることが難しくなる

・ストレスに対して弱くなり、ちょっとしたことで要介護状態や死亡につながるような状態

これらの状態を「フレイル=虚弱」といいます。

筋力の衰えや活動性の低下が認知症につながり、介護が必要になったり入院を繰り返すようになるということです。

重要なことは、適切な関わりでフレイルの状態から脱することができるということです。

聴力のおとろえと「フレイル」の関係

近年、聴力低下によってコミュニケーションが難しくなったり、生活の質が低下したりすることが「フレイル」につながるとして注目されています。

年齢に伴い徐々に聞こえが悪くなったとき、相手の方に悪いと思って聞こえていないのに聞こえているふりをして、ちぐはぐな受け答えになってしまうことがあります。次第にコミュニケーションをとることがおっくうになり、部屋にこもりがちになって社会参加の機会が減ってしまいがちです。

まずはご自身のきこえの状態をチェックしてみましょう

このような状態は認知症の症状と重複していることが多く、かつ年齢による難聴はゆっくりと進行するため周りの人もご自身も聴力が低下しているのに気づかないことがあります。そのため難聴で起こる症状にも関わらず周囲の人から「認知症ではないか」と思われている方がいらっしゃいます。

補聴器を用いるなど適切なきこえのリハビリテーションを受けると、生き生きとした生活を取り戻せる場合があります。まずは耳鼻咽喉科に相談いただいて、ご自身のきこえの状態を把握することが大切です。「もう年だから」とあきらめずにぜひご自身のきこえを大切にしていただきたいと思います。