「食後に飲む薬」は本当に食後じゃないとダメ?

こんにちは。滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

病院で処方される薬の多くは「1日3回毎食後」や「1日2回朝夕食後」など、食後に飲むことを指定されています。なぜ、「食後」と指定されているのでしょうか。

理由はいくつかありますが、一つは飲み忘れを防ぐためです。食事のタイミングに合わせることで、規則的に薬を飲みやすくなります。もう一つは胃への負担を減らすためです。空腹時に飲むと胃が荒れやすい薬もあるため、「食後」とされることがあります。つまり、「必ず食後でなければならない」というよりは、生活リズムに合わせて安全に飲むための目安であることが多いのです。

そしてもう一つは、添付文書の用法が「食後」となっているため、処方もそれに合わせている、という事情です。

添付文書と異なる用法で処方すると、保険診療上の扱いが難しくなる場合があるため、多くの薬が「食後」で統一されているのが現状です。

そのため、必ずしも医学的に食後でなければならないという意味ではない場合も少なくありません。

つまり、実は多くの薬は必ずしも食後に内服する必要がないのです。

ところが、この「食後に内服」という指示をまじめに守ろうとして、食事をとっていない日は薬を飲まない方や、薬を飲むために少量でも何か食べてから内服される方がいらっしゃいます。

例えばのどが痛くてなかなか食事がとれないときに、薬をのむために無理に食事をとるのはつらいですし、大事な薬を「食事をとっていないから」という理由で飲まない、となると本末転倒です。

乳児の場合は「食後」指示を守ろうとすると授乳した後に飲ませることになりますが、満腹になってからだとなかなか薬を飲んでくれずに困ることになります。

例えば当院でよくお出ししているお薬に関していうと、実は「食後でなくてもいい薬」が多いです。

抗生物質(アモキシシリン など)は、1日に決められた回数をきちんと飲むことが大切です。
食後かどうかは、それほど気にしなくて大丈夫です。

アレルギーのお薬(フェキソフェナジン、ロラタジン など)も食事の影響はほとんどありませんので、飲みやすいタイミングで問題ありません。

痰を出しやすくするお薬(カルボシステイン など)も同じで、「食後」と書いてあっても、忘れずに飲むための目安と考えていただいて大丈夫です。

これらのことから乳児の場合は、満腹になってお薬を飲めなくなることを避けるため、食後のお薬でも授乳の前に飲んでいただくことがあります。

ただし例外がありますので、以下のお薬は飲むタイミングに注意が必要です。

一方で、食後に飲んだ方がよいお薬もあります。

例えば、痛み止め(ロキソプロフェン 、イブプロフェンなど)は、空腹の状態で飲むと胃に負担がかかることがあるため、できれば食後に飲む方が安心です。

また、抗生物質の中には(ミノサイクリン など)、食後かどうかよりも、しっかり水で飲むことや、飲んですぐ横にならないことが大切なものもあります。これは、薬が食道や胃にとどまってしまって炎症を起こすのを防ぐためと、急激に吸収されることで起こる頭痛などの副作用を和らげるためです。

鉄剤(フェロミア、クエン酸第一鉄など)は、空腹時の方が吸収が良くなりますが胃への負担が多いので、吐き気などの副作用を抑えて続けて飲めるように、食後に飲むことが推奨されています。

もう一方で、「食前」や「空腹時」と指定されている薬は、食後の薬と違って、きちんと理由があることが多いです。

例えば、食事の影響で吸収が悪くなってしまう薬(抗生物質のクラバモックスや、抗アレルギー薬のビラスチン(ビラノア)など)、食事の直前や空腹時に飲むことで効果を発揮する薬などがあります。

そのため、これらのお薬については、できるだけ指示通りのタイミングで内服することが大切です。

「食後」という言葉は一見わかりやすいようでいて、実際にはいくつかの意味が含まれています。

多くの場合は内服のタイミングをそろえるための目安ですが、薬によっては副作用の予防や吸収の問題と関係していることもあります。迷われたときには、医師や薬剤師に「この薬は食事と関係がありますか」と確認していただくのが確実です。