補聴器を使い始めるタイミングは?

滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
当院では補聴器外来を行っており、難聴でお悩みの方々から日々ご相談をいただいています。そんな中でよくいただくご質問のひとつが、「まだ補聴器を使うのは早いでしょうか?」というものです。
補聴器を使い始めるタイミングについては、多くの方が迷われるところですが、実は年齢や聞こえの程度だけで決めるものではありません。今回は、補聴器をつける適切な時期についてお話しします。
補聴器は高齢者だけのものではありません


「補聴器=高齢者のもの」というイメージが強いかもしれませんが、実際には年齢に関係なく、聞こえにくさを感じる方が対象です。
難聴は加齢だけでなく、騒音や病気などさまざまな理由で起こります。若い方でも、生活に支障を感じる場合は補聴器の検討が必要になることもあります。
「全く聞こえなくなってから」ではなく、「少し聞こえづらい」ときから始めましょう
『まだ少しは聞こえるから大丈夫』と思っているうちに、聞こえにくさが進行してしまうことがあります。
補聴器は、日常生活で『聞き返すことが増えた』『テレビの音を大きくしがち』『家族との会話が聞きづらい』と感じたときが、検討のサインです。
一般的に、年齢とともに徐々に進行する難聴の場合は、聞こえにくさを感じ始めた段階で補聴器を使い始めることで、脳が“音を聞き分ける力”を保ちやすくなります。逆に、長期間放置してしまうと、補聴器を付けても十分な効果を感じるまでに長い時間がかかったり、なかなか効果が出にくい場合があります。
難聴は自分では気づきにくい

年齢を重ねることで起こる難聴は、ゆっくりと進行する場合が多いです。
そのため、ご本人は「まだ大丈夫」と思っていても、家族や周囲の方が「最近、聞こえづらそう」と気づくケースも少なくありません。
特に、静かな場所では気づきにくく、「複数人の会話」や「騒がしい場所」で言葉の聞き取りづらさを覚えることが多いです。
また、人や自動車などが近づいてきたときの気配がわからないことも難聴のサインです。呼びかけられて初めて人がいることに気づいたり、車が背後から来たことに気づかずに驚いたりすることがよくある場合は、聞こえにくさに原因があるかもしれません。
補聴器を付ける前に、まず耳鼻科で相談を
聞こえにくさを感じたら、いきなり補聴器を購入する前に、必ず耳鼻咽喉科で相談しましょう。
なぜなら、難聴の中には手術で改善できる「治療可能な難聴」もあるからです。
耳鼻科では、聴力検査や診察を通じて、どのタイプの難聴なのか、補聴器が必要かどうかを判断します。
もし治療で改善が難しい場合は、補聴器選びや調整をサポートします。
まとめ
- 補聴器は高齢になってからだけでなく、聞こえにくさを感じたら年齢を問わず検討しましょう。
- 「全く聞こえなくなってから」ではなく、生活の中で不便を感じ始めた時がタイミングです。
- 難聴は自分では気づきにくいことが多いので、家族や周囲の声も大切にしましょう。
- 補聴器を検討する前に、まず耳鼻科で相談し、治療可能な難聴を見逃さないことが大切です。
聞こえにくさを我慢せず、気になることがあればお気軽に耳鼻科へご相談ください。