外耳炎と中耳炎は症状で見分けらるか

滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

耳の痛みを訴えて耳鼻咽喉科に来院される方は多いです。「耳が急に痛くなったので中耳炎かな」と思って受診され、外耳炎ですねとご説明すると「外耳炎って中耳炎とどう違うのでしょうか」と聞かれる方がいらっしゃいます。

そこで今回は耳の痛みの原因となる代表的な2つの疾患、「外耳炎」と「中耳炎」についてお話しします。

耳の構造

まずは耳の構造について簡単にお話ししましょう。

耳は鼓膜によって「外耳」と「中耳」に分けられます。

耳の穴から鼓膜までが外耳で、耳の穴の入り口から鼓膜まで大人で約2.5㎝です。

中耳は空気で満たされていて、耳管という管で鼻の奥とつながっています。

外耳炎

鼓膜より外側の部分で炎症が起こることを「外耳炎」といいます。

気温、湿度ともに高い夏場に起こりやすい病気です。耳かきによる傷や、水泳や入浴などの際に汚染された水が耳の中に入ることが原因で起こります。

もともと耳垢には、外耳を酸性に保ち、皮膚を油分で覆うことで細菌感染から外耳道を守る働きがあります。

耳垢を過剰に取りすぎると、この保護作用が失われて外耳炎が起こりやすくなります。

また耳かきによる傷がもとで細菌感染を起こすこともあります。

(耳掃除については過去のブログ「耳の掃除をしてはだめって本当?」もご参照ください)

耳の痛みが主な症状ですが、腫れがひどくなると耳の穴がふさがって聞こえにくくなったり、耳が詰まった感じがすることがあります。また、枕に耳をつけるのも痛いほど痛みが強くなることもあります。

治療は、耳の中を専用の器具を用いてきれいにし、抗菌薬や炎症を抑えるステロイドを使って行います。治癒するまでご自分で耳を触ってしまうとぶり返すことがあるので、耳を触らないようにしましょう。

中耳炎

鼓膜より内側の部分で炎症が起こることを「中耳炎」といいます。

かぜや副鼻腔炎にかかった際、ウイルスや細菌が、耳と鼻をつなぐ「耳管」を介して鼻の奥から中耳へ侵入し炎症を起こすことが原因となります。

鼓膜に穴があいていない場合、耳の外からウイルスや細菌が入って中耳炎を起こすことはめったにありません。

症状としては耳の痛みに加え発熱がみられることもよくあります。

軽症の場合は抗菌薬を使わずに自然に治ることもあります。

中等症以上の場合は抗菌薬を使用し、痛みや鼓膜の腫れが強いときは鼓膜切開をして膿を出す処置もあわせて行います。

症状で見分けられるか

外耳炎と中耳炎はどちらも耳の痛みや耳だれ、聞こえにくさが起こりますので、症状だけで見分けることは難しいです。また、いずれも重症の場合には外耳にも中耳にも炎症が起こるので、最初どちらの炎症がメインだったのかわからないこともあります。

一概には言えませんが、「耳かきをしたあとに耳が痛くなった」場合は外耳炎のことが多く、「かぜをひいていて耳が痛くなった」場合には中耳炎であることが多いです。

治療法が異なりますので、自己判断せず耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。