熱中症対策をしましょう② 大人編
大人の熱中症について
滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
前回から2回にわたって熱中症についてのお話をしています。
前回はこどもの熱中症についてお話しましたが、今回は大人の熱中症についてです。
熱中症で救急搬送される人の約半数が高齢者です
東京消防庁管内で、昨年(令和5年)6月1日から9月30日までの4か月間で、7,112人が熱中症(疑いを含む)により救急搬送されました1)。
これは前年(令和4年)と比べて1,099人の増加となっています。
全国的な傾向として65歳以上の高齢者が熱中症による救急搬送者の約半数を占めています2)。
日本は年々暑くなっている
大人の皆さんには言うまでもなく実感されていることかもしれませんが、日本の平均気温は年々上昇しています。
日本の年平均気温は、100年あたり1.35℃の割合で上昇しています。これは世界全体の平均上昇率(100年あたり0.76℃)を上回っており、日本における気温上昇がより顕著であることを示しています。
2023年の日本の平均気温は、過去30年の平均気温と比較して+1.29℃高かったことがわかりました。これは1898年の統計開始以来、最も高い値となっています3)。
暑さ指数を確認しましょう
外出されるときは、天気予報のほかに「暑さ指数」を確認することがお勧めです。
環境省が熱中症予防情報サイトを作成し注意喚起を行っています。リアルタイムの熱中症警戒アラートを確認することができますので、外での活動の際の目安になさってください。
熱中症警戒アラートが発表された日は特に注意して予防を行い、不要不急の外出を控え、エアコンや扇風機を活用して室内で過ごすようにしましょう。
熱中症対策
①水分補給
のどの渇きを感じなくても、こまめに水分を摂取しましょう。1日あたり1.2リットルを目安に水分を取りましょう。起床時、就寝前、入浴前など、定期的に水分補給を心がけるとよいでしょう。
②室内環境の管理
温湿度計で室内温度をこまめにチェックしましょう。エアコンや扇風機を適切に使用し、快適な室温を維持するようにします。
特に就寝時は室内が閉め切られるため注意が必要です。
③体調管理
バランスの良い食事を心がけましょう。体重、血圧、心拍数、体温などの変化に注意を払うようにしましょう。
④衣服の工夫
綿や麻など、通気性の良い素材を選びましょう。吸汗速乾性のある機能性素材も効果的です。
また、白や淡い色を選ぶことで日光の吸収を抑えることができます。帽子を着用し、直射日光から頭部を守りましょう。
⑤周囲の人のサポート
家族や周りの人が高齢者の状態に注意を払うようにしましょう。世話をする人がいない間の過ごし方を確認しておくことも大切です。
熱中症の兆候に注意
めまい、立ち眩み、倦怠感、体温上昇、呼吸が荒い、頭痛、筋肉のけいれん、意識低下などが熱中症の兆候です。
熱中症の応急処置は以下の4つです。
それでも症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
高齢者は体内の水分が不足しがちで、暑さに対する感覚機能や体温調節機能が低下しているため、特に注意が必要です。
引用