熱中症対策をしましょう① 子ども編
子どもの熱中症について
滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
今回から2回にわたって熱中症についてのお話をします。
まずはじめは子どもの熱中症についてです。子どもは大人と比べてどのようなことに注意が必要でしょうか。詳しくみていきましょう。
子どもの熱中症で特に気を付けたい、大人とのちがい
- 子どもの体温調節機能は大人に比べて未熟です
子どもは大人に比べて体温を調節するのが苦手です。特に汗をかく機能が発達しておらず、暑さを感じてから汗をかいて体温を下げるまでに時間がかかってしまいます。
また、体重あたりの水分量の割合が大人に比べて多く、大人が60%であるのに対し、子どもは体の70%を水分が占めています。大人に比べて必要な水分量が多いので、子どもは脱水になりやすいと言えます。
脱水になると汗をかきにくくなり、熱を放出しづらくなります。外気温の影響で一度体温が上がってしまうと、なかなか体温を下げにくくなるのです。
さらに、体重に比べて体の表面積の割合が大きいため、これも周囲の気温や湿度などの影響を受けやすい原因となります。
- 自分の症状を上手に訴えることができません
子どもは自分の体調の変化を上手に伝えることが難しく、さらに物事に夢中になると没頭してしまいがちです。大人であれば、のどが渇けば水分を摂ろうとしますが、子どもはのどの渇きをそっちのけで遊びに熱中していることもしばしばです。
また、立ちくらみやめまい、ふくらはぎがつったりるするなどの熱中症の症状が出てもうまく伝えられないことがあります。
- 環境の違い
身長が低いため、アスファルトからの照り返しが大人よりも強くなります。ベビーカーに温度計をつけておくと、大人が感じている気温との違いに驚くことがあります。大人が体感している以上に子どもは暑いということに注意が必要です。
熱中症の症状
①軽症の場合(Ⅰ度)
脳への血流が一時的に不足することで立ちくらみが起こります。また、塩分が不足してこむら返りが起こることもあります。大量に汗が出て、生あくびが出てきますが、この時点では意識は保たれています。
②中等症の場合(Ⅱ度)
頭痛や嘔吐が起こり、体のだるさや力が抜ける感じがします。意識は少しもうろうとしてきて、集中力や判断力が低下してきます。
③重症の場合(Ⅲ度)
体温が40℃以上に上昇し、意識がもうろうとして応答が鈍くなります。筋肉のけいれんがみられることがあります。
子どもの熱中症予防
徐々に暑さに体を慣らす工夫を
初夏のうちから無理のない範囲で適度に汗をかく習慣を取り入れます。通常体が暑さに慣れるのに数日から2週間程度かかります。体調をくずして家でお休みしていた後などに、急に暑い環境で活動すると熱中症のリスクが高まります。徐々に暑さに体を慣らすように、短期間ずつ外出するなどの工夫をしましょう。
こまめな水分補給を
水分補給は熱中症対策の最も簡単な対策です。子どもは大人よりも体を維持するために必要な水分の割合が多いため、脱水症になりやすいため、外遊びや運動中だけでなく、開始前にも水分補給をしておきましょう。
水分補給の目安として、もともと脱水がない状態であれば、9〜12歳では100~250mLを20分ごと、10代(思春期)では1時間で1~1.5Lの経口補水が目安になります※)。
のどが渇かなくても時間を決めて水分補給させるようにしてください。
適切な衣服を選ぼう
軽く、明るい色のゆったりとした服を着せましょう。また、帽子を着用して直射日光を避けるようにしましょう。
体調を整えましょう
十分な睡眠と栄養摂取を心がけ、体調を整えましょう。高温多湿の晴れた日は、無理せず休憩しながら活動するようにしてください。
受診のめやす
子どもの熱中症を疑ったら、涼しい場所に移動して衣服を緩め、水分を摂らせます。スポーツドリンクでも良いですが、オーエスワン®やアクアソリタ®などの経口補水液が適しています。暑さに慣れていないときや、長時間の運動の後、大量に汗をかいている場合は特に塩分補給が重要です。
これらの対処で症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診しましょう。中等症以上の症状がある場合は受診が必要です。
※)Heat-related illness in young athletes: Heat-related illness in young athletes (aboutkidshealth.ca)