滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

一週間で秋と冬をいったりきたりするような天候が続いていますね。体調を崩しやすい天気ですので特に注意して過ごしていただきたいと思います。

さて本日はアレルギーの治療のひとつである「アレルゲン免疫療法」についての話題です。

当院小児科ではアレルギー診療に力を入れています。アレルギー症状でお困りの方はご相談ください。

アレルゲン免疫療法とは

アレルゲン免疫療法とはアレルギー性鼻炎、喘息、食物アレルギーなどのアレルギー疾患 において、アレルギーの原因となる物質（アレルゲン）へ体を慣れさせる治療で、アレルギーに対する唯一の根本的治療です。

アレルギーの重症度を低下させ、これまで使用していたアレルギーに対する薬剤の必要量を減らしたり、お薬を飲まなくてもよくなったりすることが期待できます。

またアレルギー素因のあるお子さんには、一つのアレルギー疾患があることで次々に他のアレルギー性病変が出たり、ほかのアレルゲンにも感作されたりする「アレルギーマーチ」とよばれる病態があります。

例えばアトピー性皮膚炎があった方がアレルギー性鼻炎や喘息を発症したり、スギ花粉症の方がダニやハウスダスト、食物などにも反応するようになったりするといったことです。

アレルゲン免疫療法はこのアレルギーマーチの抑制にも効果があると期待されています。実際にアレルギー性鼻炎の患者さんにおいて短期間での経過ではありますが、喘息の発症を予防したという研究結果があります。

舌下免疫療法とは

アレルゲン免疫療法の中でも、舌の裏でアレルゲンを含むお薬を溶かすことで行う免疫療法です。現在は「スギ」と「ダニ」の2種類が保険適用となっています。

舌下免疫療法の効果は

治療を行った方の約2割が奏功し、全体の約6割の方で改善からやや楽になるといった効果があると言われています。残念ながら1～2割の方には治療効果がないという報告があります。また「スギ」「ダニ」それぞれのアレルギーには効果がありますが、そのほかのアレルゲンに対する改善は今のところ得られないと言われています。

３年間継続して治療すると治療終了後 約７年

４～５年間継続して治療すると治療終了後 約８年

効果が持続するというデータが報告されています。

こんな方が対象となります

• スギ・ダニによるアレルギー性鼻炎があると血液検査等で診断された方

• 症状が強くてアレルギーのお薬を使っても改善しない

• アレルギーのために使用している治療薬が複数あって、薬を少しでも減らしたい方

年齢制限はありませんが、概ね5歳以上の方で治療可能となる方が多いです。

毎日続けることと、舌の裏にお薬を乗せて飲み込まずに我慢することができれば治療可能です。

こんな方は治療の対象外となります

• 妊娠中、もしくは近いうちに妊娠を希望されている方

（ただし舌下免疫療法中に妊娠された方は治療を中止する必要はないと言われています）

• 重症の喘息の方

• 重症の心臓病の方

• 癌の治療中の方

• 免疫抑制剤を使用中の方

次回は舌下免疫療法の実際についてお話しします。