花粉症がPM2.5や黄砂でひどくなるのはなぜ?

こんにちは。滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
スギ花粉の飛散が開始しました。また、今週は黄砂も多量に飛んでくるということで、花粉症の方や喘息の方は特に症状の悪化が心配されます。外出時はマスクや眼鏡をつけて、なるべく花粉を吸い込まないようにしたいものです。

さて、最近は天気予報でも黄砂やPM2.5の予測を伝えてくれるようになりました。黄砂やPM2.5ときくと花粉症がきつくなるイメージを持っている方も多いと思いますが、そもそもどうして症状がひどくなるのでしょうか。

今回はその理由を3点お伝えします。

鼻やのどの表面は、本来は外からの異物を防ぐ「壁」のような働きをしています。

ところがPM2.5のようなとても細かい粒子や、黄砂に付着した汚染物質が入り込むと、この壁に細かい傷がつきます。1)

イメージとしては、しっかり閉まっていたドアが、すき間だらけになる状態です。

すると、花粉がより奥まで入りやすくなり、体が過剰に反応してしまいます。

PM2.5や黄砂は、それ自体が炎症を起こす性質を持っています。2)

つまり、花粉による炎症、PM2.5による炎症、黄砂による炎症

と、3つの炎症が重なってしまうのです。

その結果、くしゃみが止まらない鼻づまりが強い目が真っ赤になる咳やぜんそくが悪化する

といった症状が強くなります。

特にぜんそくのある方は、粒子の細かいPM2.5が肺の奥まで届くため、発作の引き金になることもあります。

最近の研究では、PM2.5や黄砂が花粉の表面に付着すると、花粉の粒子が爆発しアレルギーを起こす成分が外に出やすくなることも報告されています。

つまり、花粉が“刺激の強い状態”になってしまうのです。

こうした作用により、PM2.5や黄砂は花粉症や喘息の症状を悪化させます。

実際、「PM2.5・黄砂の濃度が高い日は花粉量とは無関係に花粉症症状が悪化する」という研究結果が得られています。3)

例えば、花粉飛散が少なくてもPM2.5が多い群では、鼻水・鼻づまりなどほとんどの症状と生活の質が悪化していました。

鼻や目以外にも、体の倦怠感・頭痛など全身症状が強まることもあります。

PM2.5や黄砂は花粉粒子と比べて非常に小さいので、マスクはPM2.5対応マスク(PFE95%以上)を使うことが効果的です。ポイントは、鼻の上までしっかり密着させること!

目からの侵入を防ぐことも大切なことです。花粉症対策用のゴーグルや眼鏡を活用しましょう。

また、花粉の飛散情報だけでなく、PM2.5・黄砂の飛散情報も確認するようにしましょう。

帰宅時にはうがいや洗顔で顔やのどに付着した粒子を洗い流します。

室内では空気清浄機を使い、洗濯物は外干しを避けます。

鼻づまりがひどいときは生理食塩水で鼻うがいをするのも効果的です。(当院でも取り扱っていますので、お気軽にご相談ください。)

症状が強い場合は、耳鼻科で点鼻ステロイドや抗ヒスタミン薬、内科で喘息用吸入薬の処方を受けて早めに治療しましょう。

【参考文献】

1)Mu X, et al. Particulate Matter 2.5 Causes Deficiency in Barrier Integrity in Human Nasal Epithelial Cells. Asthma Immunol. Res.2020 Jan;12(1):56-71. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31743964/

2) Fussell JC, , et al. Mechanisms underlying the health effects of desert sand dust. Environment International. 2021;157:106790. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34333291/

3) Nagino K, et al. Association between yellow dust, PM2.5, and hay fever: A large-scale crowdsourced observational study using the AllerSearch smartphone application. Allergology International. 2025 Dec 16. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41407565/