こどもの便秘について

滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

今回は、こどもの便秘についてのお話です。

そもそも便秘って?

便秘とは「本来は体の外に出すべき便を十分な量、快適に出すことができない」状態です。

ポイントは便の回数や便の頻度によらないということです。

毎日欠かさずうんちをしていても、

・うんちをするときに顔を真っ赤(あるいは真っ青)にしてきばる

・うんちの性状がカチカチ・コロコロの小指の先ほどの小さいものしか出ない

などの場合は便秘の可能性が高いです。

トイレトレーニングを終えて一人で排便をする習慣があるお子さんでは、親がうんちを毎回確認することは難しくなります。トイレに行く回数よりも、毎日便がスムーズに出ているかを確認していただくと、便秘かどうかわかることがあります。

「うんちしたいなと思ったらすぐにうんちが出る?」

「うんちするときにお尻が痛くならない?」

などの質問が便秘をみつけるのに効果的です。

うんちは何からできている?

便はなにからできているのでしょうか。小さいお子さんにきくと「食べたものが体を通ってそのまま出てくる」と思っていたりします。

実は便は「食物繊維」「腸内細菌」「水分」「電解質」「(古くなった)腸粘膜」でできています。

便秘のしくみ

それではなぜ、スムーズに排便できなくなるのでしょうか。

直腸(肛門の直前にある腸)に便が到着すると、直腸の壁が伸びて便がしたい感じがします。そうすると肛門の周りの筋肉が緩んで、さらにお腹に力を入れることで排便することができます。

ところが、この時にがまんするなどして肛門の周りの筋肉を緩めずにいると、直腸に便が溜まってしまいます。

直腸の壁が伸びたままになると、「便がしたい」という感じが鈍くなってしまい、最終的には感じなくなってしまいます。

どんどん便が直腸に溜まって、便からは水分が腸管に吸収されてどんどん硬くなってしまいます。

これが繰り返されると悪循環となってしまい重症の便秘となってしまうのです。

便秘の予防をしよう

便秘の悪循環におちいらないために、以下の3点を心がけてみましょう。

①うんちをがまんしない

便意をがまんすることは便秘の悪循環のスタートです。特に小学校に行き始めると、授業中にトイレに行きにくかったり、友達に冷やかされるのが恥ずかしかったりして、排便をがまんするようになることがあります。

朝にゆったりとした時間があると、お腹の動きがよくなって排便の習慣ができ、学校でトイレに行くことが難しくても定期的に排便できるようになります。少し早起きしてゆっくりトイレに行ける習慣をつけましょう。

②朝ごはんを食べる

朝、お腹がすいているときに食べ物が胃に入ってくると、大腸が動き出します。朝食を食べたあとに便意を感じるのはこのためです。

また、寝ている状態から体が目覚めると、腸も目覚めて動き出すので、朝は一番うんちをするのに適した時間帯といえます。朝ごはんを欠かさず食べてしっかりとうんちしましょう。

③バランスの良い食事をとる

ちまたではいろいろな食材が便秘によいと紹介されていますが、少なくともこどもの便秘に関しては、1つの食材で便秘を改善できるというものはありません。

食物繊維が豊富なさつまいもを食べすぎてかえってうんちが硬くなることもありますし、乳酸菌飲料・ヨーグルト・牛乳などをたくさんとりすぎて脂質が多くなってしまい、食物繊維が不足してしまうこともあります。

好き嫌いに合わせてバランスよく食事がとれるとよいですね。

おまけ:水分の量について

うんちの材料の中に「水分」が入っていました。

水分を十分にとれていないために便が硬くなって便秘になっているお子さんはいます。

では水分を多くとれば便が緩くなるかというと、実はこどもの慢性便秘患者さんで、うんちの出しにくさに関してはたくさん水分をとっても変わらないという研究結果が報告されています。

水分をたくさんとってもおしっこが増えるだけという報告もあります。

うんちから水分が抜けてしまうのは、排便をがまんすることによって腸に長い時間 便が溜まることによって水分が吸収されていくためです。水分の摂取量に関しては、普段から気を付けてとれている場合にはあまり気にしすぎる必要はないと言われています。

便秘で困ったら

こどもの便秘は早めの治療開始が大切です。良くない排便の習慣を長く続ければ続けるほど、それを改善するのに長い時間がかかるからです。

便秘の症状が出現したらなるべく早く受診しましょう!