ヘッドホン・イヤホン難聴について
滋賀県守山市、小児科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
「ヘッドホン難聴・イヤホン難聴」という言葉をご存じでしょうか。
ポータブルオーディオプレーヤーが普及した1980年代から、ヘッドホンやイヤホンで長時間音を聴き続けることによっておこる難聴について知られるようになりました。
近年、スマートフォンや携帯ゲーム機の普及によってさらにその危険性が懸念されています。
難聴の原因は加齢だけではありません
「難聴」ときくと、「若者には関係ないのではないか」と思われる方もいるかもしれません。
しかしヘッドホンやイヤホンの使用による難聴は、年齢に関係なく起こります。
2015年にはWHOが
「世界各国の男女12歳~35歳の若者のうち11億人が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンで大きな音を聴くことによって難聴のリスクにさらされている」
と警告しました。
ヘッドホン・イヤホン難聴の原因
耳から入った音は「内耳」にある「有毛細胞」が音の振動を電気信号に変えて脳に伝えられます。
大きな音を長い時間聴き続けると、この有毛細胞にダメージが起こってしまうことで難聴になる場合があります。騒音によって慢性的に有毛細胞がダメージを受けると、残念ながら聴力を回復することはできません。
ヘッドホンやイヤホンは自分で好きな音量に調節することができるため、電車の中など周りの騒音が大きい場合、騒音に負けないように音量を上げてしまいがちです。そのため知らず知らずのうちに好きな音楽が耳を傷めてしまうことがあるのです。
予防法は
ヘッドホン、イヤホンの使い方を注意することでこの難聴を予防することができます。
2019年にWHOはヘッドホン・イヤホン難聴のリスクについて次のような指針を出しました。
ヘッドホン・イヤホン難聴のリスク
・成人で80dBで1週間あたり40時間以上
・小児で75dBで1週間当たり40時間以上
75dBは掃除機、80dB は地下鉄の車内の騒音程度の音量です。
このような大きな音で長時間使用しないために、以下のような工夫で予防することができます。
①音量を上げすぎない
ヘッドホンやイヤホンをしたまま、会話ができるぐらいの音量を保って使用する
②長時間使わないようにする
30分から1時間に1回、10分程度耳を休ませる
③ノイズキャンセリング機能を使う
ノイズキャンセリング機能があるヘッドホンやイヤホンは、周囲の騒音を相殺してくれる効果があるため、不必要に音量を上げなくても良くなり、難聴予防につながります
ヘッドホンやイヤホンによる慢性的な難聴は、治療によって回復できません。適正に使用することで耳を大切にしていただきたいと思います。