引っ越しをしたときの予防接種、公費のしくみと知っておきたい注意点

こんにちは。滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。
引っ越しをきっかけに、お子さんの予防接種のスケジュールに戸惑ったことはありませんか。定期接種(公費の予防接種)は、お子さんの住民登録がある市区町村の制度にもとづいて行われているため、転居のタイミングによっては、これまで使っていた予診票がそのままでは使えなくなることがあります。今回は、公費の予防接種がどのようなしくみで行われているかを整理しながら、転居した際にご家庭で気をつけていただきたいポイントについてお伝えします。
- 定期接種(公費の予防接種)はどのようなしくみで行われているか
- 引っ越しをしたら、なぜ早めに伝えることが大切なのか
- 転居したときの一般的な手続きの流れ
- ご家庭で気をつけていただきたいポイント
- 当院からのお願い
定期接種(公費の予防接種)はどのようなしくみで行われているか
お子さんが受ける予防接種のうち、費用の助成を受けられる定期接種は、予防接種法にもとづき、お子さんが住民登録をしている市区町村が実施主体となって行われています。法律上も、当該市区町村の区域内に居住する方を対象に実施することが定められています1)。
実際の運用としては、住民登録のある市区町村が委託した医療機関で接種を受ける形が一般的です2)。つまり、公費で受けられる予防接種の予診票は、その時点でお子さんが住民登録をしている市区町村が発行しているものであり、住んでいる場所が変わると、この土台となる制度そのものが切り替わることになります。
引っ越しをしたら、早めにやっておきたいこと
引っ越しによって住民登録のある市区町村が変わると、それまで使っていた予診票はそのままでは使えなくなる場合があります。転居したことを伝えずに以前住んでいた市区町村の予診票を持って医療機関を受診すると、医療機関の窓口で公費の対象として扱えるかどうかの判断に時間がかかり、その日に予防接種を受けられないこともあります。もちろん、転居前の医療機関に以前の予診票を持って行っても同様です。
お子さんが予定通りに公費の対象として予防接種を受けられるようにするためには、転居が決まった時点で、できるだけ早く新しい市区町村の窓口に転居の届け出をするとともに、これから受診される医療機関にも「引っ越しをした」という事実を伝えていただくことが大切です。転居後も、それまでかかりつけにしていた医療機関にそのまま通院を続けたい場合は、その医療機関にも転居した旨を伝えておくようにしましょう。
転居したときの一般的な手続きの流れ
一般的には、新しい市区町村へ転入の届け出をされる際に、母子健康手帳をお持ちのうえ、健康福祉関連の窓口で予防接種についても相談されると、その後の流れがわかりやすくなります。多くの市区町村では、転入されたお子さんに対して新しい予診票を発行する仕組みが設けられていますが、発行のタイミングや方法は自治体によって異なりますので、役所の窓口で直接ご確認いただくことをおすすめします。
里帰りや入院など、やむを得ない事情で住民登録のある市区町村以外の医療機関で定期接種を受けたい場合には、多くの自治体で「予防接種依頼書」に類する書類の事前申請を求めています。たとえば当院がある滋賀県守山市では、里帰りや入院などの事情で県外の医療機関において定期接種を希望する場合、接種を受けるおよそ1か月ほど前までに「県外実施依頼申請書」の申請が必要とされています3)。
手続きの名称や必要書類、申請のタイミングは自治体ごとに異なるため、詳細は転居前・転居後、両方の市区町村の窓口、または受診予定の医療機関にご確認いただくと安心です。
ご家庭で気をつけていただきたいポイント
引っ越しの予定が決まったら、まず母子健康手帳を確認し、これまでに受けた予防接種の記録と、まだ受けていない予防接種を整理しておくと、その後の手続きがスムーズになります。特に、複数回の接種が必要なワクチンを途中まで受けている場合は、次の接種予定日がいつなのかをあらかじめ把握しておくことをおすすめします。
転居先が決まった時点で、早めに新しい市区町村へ転入の連絡をし、予防接種の予診票についても確認しておきましょう。あわせて、転居前にかかっていた医療機関と、転居後にかかる予定の医療機関の両方に、引っ越しをした、またはこれから引っ越す予定であることを伝えておくと、行き違いや手続きの遅れを防ぐことにつながります。
引っ越しを予定されている方へ、当院からのお願い
当院でも、転居されたご家庭のお子さんの予防接種について、ご相談をいただくことがあります。住民登録のある市区町村がどこか、また、お持ちの予診票が現在の状況に合っているかどうかによって、必要な手続きが異なる場合がありますので、受診前に一度、お電話等でご相談いただけますと安心です。
母子健康手帳をお持ちいただければ、これまでの接種状況を確認しながら、今後のスケジュールについてご案内することができます。引っ越しに伴う予防接種の手続きでご不安なことがございましたら、早めに当院までご相談ください。
参考文献
- 予防接種法(e-Gov法令検索) 第5条
- 予防接種制度について|予防接種|東京都保健医療局
- 子どもの予防接種(県外実施依頼申請書について)|滋賀県守山市公式ウェブサイト(トップページの検索・サイト内メニューから「子どもの予防接種」ページをご参照ください)
