日本脳炎ワクチンは3歳から?生後6か月から?

こんにちは。滋賀県守山市、小児科・アレルギー科・耳鼻咽喉科のきどわき医院です。

実は、日本脳炎ワクチンは生後6か月から定期接種として受けることができます。

標準的な接種開始は3歳とされているため、それより早く始められることはあまり知られていませんが、実は生後6か月から接種ができます。この記事では、日本脳炎という病気の概要と、接種を始める時期の考え方についてご紹介します。

目次

  1. 日本脳炎とはどんな病気?
  2. 定期接種の対象と標準的な接種時期
  3. 生後6か月から接種するという選択肢
  4. 当院の対応とご相談について

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを持つ蚊(主にコガタアカイエカ)に刺されることで感染する病気です。ウイルスはブタの体内で増え、そのブタの血を吸った蚊がヒトを刺すことで人にうつります1)。感染しても多くの方は無症状か軽い症状で済み、脳炎(脳に炎症が起こる病気)を発症するのは、感染した100〜1,000人に1人程度とされています2)。

発症すると、高熱、頭痛、嘔吐などに続いて、意識障害やけいれんなどの神経の症状が現れます。亡くなる割合は20〜40%前後と高く、回復しても半数程度の方に麻痺や認知機能の障害などの重い後遺症が残るとされています2)3)。国内の患者数は、ワクチン接種や生活環境の変化などにより、現在は年間10人以下と少なくなっています3)。ただし、ウイルスを持つ蚊がいなくなったわけではありません。

コガタアカイエカは、水田や池、水路などの水たまりで発生します。田んぼや水辺の多い滋賀県は、蚊に刺される機会の多い環境といえます。蚊に刺されないための対策とあわせて、ワクチンによる予防が大切です。

日本脳炎ワクチンの定期接種は、生後6か月以上90か月(7歳6か月)未満の「第1期」と、9歳以上13歳未満の「第2期」に分かれています2)。標準的な接種時期は、第1期が3歳で2回(6〜28日の間隔)、その約1年後の4歳で追加の1回、第2期が9歳で1回です2)3)。第1期の3回で基礎となる免疫をつくり、第2期でその免疫を保つ流れになります。

接種の量は年齢によって異なり、3歳未満は1回0.25ml、3歳以上は1回0.5mlです2)4) 。守山市でも、お子さんの定期予防接種の種類や接種間隔を市の案内でお知らせしています5)。お手元の母子健康手帳とあわせて、接種済みの回数をご確認ください。

標準的な開始は3歳ですが、生後6か月以上90か月未満であれば、いつでも定期接種として第1期の接種を受けることができます。標準が3歳とされている理由は公的な資料に明記されていませんが、屋外で活発に遊ぶ機会が増え、蚊に刺されることも増える時期であることが背景にあると考えられます。

日本小児科学会は、日本脳炎の流行地域へ渡航・滞在するお子さんや、最近患者が発生した地域、日本脳炎ウイルスに感染したブタが多い地域に住むお子さんに対して、生後6か月からの接種開始を推奨しています6) 。それ以外のお子さんは、これまでどおり標準の3歳からで差し支えありませんが、最近は生後6か月から接種を始めるお子さんも増えてきています。

早めに始めるメリットとして、まず、早い時期から免疫がつくことがあげられます。また、3歳前後は自己主張が強くなる、いわゆるイヤイヤ期にあたるため、その時期を避けて落ち着いて接種できる点も利点です。3歳未満の接種量は半量の0.25mlですが、それでも十分な免疫がつくとされています7)。なお、乳児期は他のワクチンも多い時期ですので、全体のスケジュールとの兼ね合いも大切です。

当院では、生後6か月からの接種を一律におすすめしているわけではありませんが、ご希望があれば対応しています。日本脳炎ワクチンは3歳以降の方のご予約はインターネットからお願いしていますが、3歳未満の方はお電話でお問い合わせください。定期接種の対象期間内であれば、費用は全額公費負担です。始める時期は、お子さんの生活環境や、ほかのワクチンの進み具合を踏まえて決めることをおすすめします。

3歳を過ぎてまだ接種を始めていないお子さんや、途中で間隔があいてしまったお子さんも、7歳6か月未満であれば第1期として接種できます。9歳になったら第2期をお忘れなく受けましょう。接種のタイミングや回数について迷われたときは、早めに当院までご相談ください。

この記事は作成時点での最新情報をまとめています。

参考文献

  1. 日本脳炎|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
  2. 日本脳炎 Q&A 第5版(平成28年12月一部改定)|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
  3. 日本脳炎ワクチン|厚生労働省
  4. 日本脳炎ワクチンのはなし|厚生労働省
  5. 滋賀県守山市公式ウェブサイト(「子どもの予防接種」ページを参照)
  6. 日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について|日本小児科学会
  7. Miyazaki C, et al. Phase III Clinical Trials Comparing the Immunogenicity and Safety of the Vero Cell-Derived Japanese Encephalitis Vaccine Encevac with Those of Mouse Brain-Derived Vaccine by Using the Beijing-1 Strain. Clinical and Vaccine Immunology. 2014;21:188-195.