咽頭炎・喉頭炎
急性咽頭炎
かぜの原因になる種々のウイルスやインフルエンザなどのウイルス感染、溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌感染などで起こること多く、症状としてはのどの痛みや痒み、声がれ、咳、発熱があげられます。多くは自然に良くなりますが、痰切りのお薬やネブライザー治療によってつらい症状を緩和することができます。
扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍
のどの入り口にある扁桃という免疫組織が炎症を起こす病気です。高熱と強いのどの痛み、飲み込みにくさ、のどの腫れが生じます。細菌やウイルスなどに対する免疫の過剰反応が原因とも考えられており、こどもから比較的若い成人の方で扁桃炎を繰り返すことがあります。扁桃炎を頻回に繰り返すときは手術で扁桃を切除すると改善することが多いです。
扁桃炎が悪化すると、周囲まで炎症がおよぶ扁桃周囲炎や、のどに膿がたまる扁桃周囲膿瘍を引き起こすことがあり、口が開けにくくなったり息の通り道が狭くなる気道狭窄をきたす場合があります。
抗生剤の服用・点滴治療を行い、炎症が強い場合はのどの腫れを抑えるために副腎皮質ステロイドを短期間投与します。のどに膿が溜まれば、のどを少し切開して膿を出す治療を行います。気道狭窄が強く窒息の恐れがある場合、首を切開して息の通り道を確保する気管切開術が必要になることがあります。炎症が落ち着いて気道狭窄がなくなれば、気管に開けた穴は塞ぐことができます。
症状が出てきた場合は早めに受診いただき、必要に応じて提携病院へご紹介いたします。
急性喉頭炎
急性喉頭炎は、喉頭という気管の入り口に生じる急性の炎症です。風邪をひいた時や喫煙、声の出し過ぎで起こり、声がかすれる、声が出しづらい、のどが痛い、などの症状が出ます。そのまま無理に声を出し続けると声帯ポリープなどの原因になることがあります。
喉頭炎には、急性喉頭蓋炎や急性声門下喉頭炎のように、急激に呼吸困難を引き起こし命に関わる病気も含まれ注意が必要です。(こどもではクループ症候群と呼ばれます)
急性喉頭蓋炎
食べ物を飲み込むときに気管を守るための喉頭蓋という部分が炎症で腫れてしまうもので、急激なのどの痛みと含み声や声がれ、呼吸困難、飲み込みにくさを感じます。体は元気でも数時間で窒息にいたることがある恐ろしい病気です。症状が出てきた場合は早めに受診いただき、必要に応じて提携病院へご紹介いたします。
急性声門下喉頭炎
声を出す声帯の下が腫れて声が出しにくくなる病気で、こどもの場合、犬が吠えるような特徴的な咳が出ることでわかります。大人では息の通り道が狭くなることはまれですが、乳幼児では窒息の危険がある怖い病気です。小児科とも連携して必要に応じて提携病院へご紹介いたします。
のどの癌
のどは息の通り道と食べ物の通り道が交差する複雑な構造をしています。のどの癌は部位によって癌の性状や治療法が異なり、以下のように区別されています。当院では鼻からの内視鏡検査、首の超音波検査を行い早期発見に努めております。ご心配な症状がみられましたらぜひご相談ください。早期に高度医療機関にご紹介します。
上咽頭癌
鼻の奥の突き当たりの上咽頭にできる癌です。EBウイルスというウイルスが関与しているといわれています。上咽頭は鼻や耳と連絡している部位のため、鼻出血、耳閉感、難聴といった症状が最初に現れることが多く、また首のしこりで見つかることもあります。
中咽頭癌
中咽頭癌は口を開けたときに見える部位の付近に生じ、喫煙や飲酒が発症の原因となります。また喫煙や飲酒をされない方にもこの癌が発症することがあり、近年、中咽頭癌の原因として子宮頸癌の原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が明らかになってきました。
初期の段階では自覚症状が少ないこともありますが、徐々に喉の痛み、飲み込みにくさ、首のしこり、喉の違和感などが強まります。
下咽頭癌
下咽頭は食道の入り口にあたり、なかなか早期には症状の出にくい癌です。原因の多くは喫煙や飲酒です。声がれや飲み込みにくさ、のどの痛みで気づかれることがあります。
喉頭癌
喉頭にできた腫瘍のうち、悪性のものを喉頭癌と言います。中高年の喫煙男性に多くみられます。喉頭癌のうち声帯にできるものが最も多く、声がれや声の出しにくさで比較的早期に発見されることが多いです。
味覚障害
味覚障害
味覚障害は、味が分からなくなったり、本来の味とは違った変な味に感じたりする状態です。血液中の亜鉛の不足により、舌の表面にある味を感じる味蕾の新陳代謝が十分に行われなくなるために起こることもしばしばありますが、その場合は亜鉛を補給する治療を行います。
★新型コロナウイルス感染によることも
ご承知の方も多いと思いますが新型コロナウイルス感染症によって味覚障害が起こることがあります。急に食事の味などが分からなくなったときは新型コロナの初期症状の可能性があるので、念のために不要不急な外出は控え、安静にお過ごしください。なお、症状が悪化したとき、10日以上経過しても症状が改善しないときは、当院にご相談ください。
嚥下障害
嚥下障害は、食事をうまく飲み込めなくなりむせたり、食物が気管に入ったりする(誤嚥)状態です。脳卒中の後遺症、神経や筋肉の病気が潜んでいるとき、咽頭喉頭の癌やその治療後にも起こります。
当院では嚥下内視鏡検査(VE)という検査を行っています。飲み込みにくさでお困りの方はご相談ください。車椅子でのご来院も可能です。
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