副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔は鼻の周り、顔の左右にそれぞれ4個ずつあり、小さな穴でそれぞれ鼻とつながっています。ここに炎症が起きるのが副鼻腔炎です。
急性副鼻腔炎
かぜ症状に引き続いて起こることが多く、色のついた鼻汁(膿)が絶えず出てきたり、常に鼻がつまって口呼吸になったり、匂いが分からなくなったりします。膿がのどに流れて咳の原因になることや、ひどい頬の痛みや頭痛が起こることもあります。
治療は、抗生剤や痰切りのお薬、鎮痛剤の服用を行います。さらに、抗生剤の入ったネブライザーなどを使った処置や鼻洗浄も効果的です。鼻洗浄は鼻から生理食塩水を注入して副鼻腔に溜まった膿を排出する方法です。こうした治療をしても治らない場合は、抗生剤の点滴治療や手術が必要になることもあります。
慢性副鼻腔炎
長期間鼻の炎症が続くことで鼻や副鼻腔の粘膜が腫れ、鼻たけと呼ばれるポリープができたり、膿が持続したりするようになったものです。鼻づまりや咳、口呼吸、においがわからないなどの症状がでます。抗生剤や痰切りのお薬を数ヶ月服用しても症状の改善に乏しければ、手術をお勧めすることがあります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)により、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が強まる病気です。風邪とは異なり、通常は発熱は伴いません。アレルゲンは多岐にわたりますが、特に多いのが花粉、家の埃やダニの糞・死骸です。ペットのフケやカビも原因となります。
アレルギー性鼻炎の症状を軽くするには、とにかく家の埃、ダニの糞・死骸、ペットの毛やフケ、カビ、花粉など、アレルゲンにできるだけ曝されないように工夫することが肝心です。その上で、抗アレルギー薬の服用や鼻噴霧薬(スプレー)で症状を抑えていきます。また、スギ花粉症とダニアレルギーには舌下免疫療法という治療が可能な場合があります。お薬だけでは症状の改善に乏しい場合は手術の適応となることがあります。
当院では舌下免疫療法にも力を入れております。小児科内科・耳鼻咽喉科で連携して治療にあたっておりますので、ご興味のある方はぜひご相談ください。
嗅覚障害
ウイルス感染や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、外傷などによってにおいがわからない、わかりにくくなってしまう病気です。
呼吸性嗅覚障害
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎のため鼻粘膜が腫れると、においの分子が嗅粘膜というセンサーまで届かなくなってにおいがわからなくなることがあります。原因となる病気を治療することで多くはにおいが回復します。
嗅粘膜性嗅覚障害
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなど、風邪ウイルスなどによって嗅粘膜に障害が生じている状態です。漢方薬や点鼻ステロイドなどの薬物で治療したり、いろいろなにおいを積極的に嗅ぐことで回復に繋がる場合があります。残念ながら回復しない方もおられます。
中枢性嗅覚障害
頭部外傷などによる神経損傷が原因となっている場合で、嗅粘膜性嗅覚障害と同様に治療を行います。嗅神経のダメージの程度が強い場合は回復しないことがあります。
★新型コロナウイルス感染によることも
新型コロナウイルス感染症によって嗅覚障害が起こることがあります。急に匂いが分からなくなったときは新型コロナの初期症状の可能性があるので、念のために不要不急な外出は控え、安静にお過ごしください。感染が落ち着いてから、あるいは発症後10日以上経過しても症状が改善しないときは、当院にご相談ください。